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ROLE

人は反射鏡。

ビジネスプロモーション局 メディア制作部 細川めぐみ

今、仕事は面白いですか?

……そうですね、今はすごく面白いと思います。これまでの経験によってスキルやノウハウが十分に積まれて、それらが使いこなせるようになり、よりクライアントの要望にそってさまざまな提案ができるようになったからです。それから、今はネットや動画という新しいツールが登場して、幅広い選択肢の中から提案できるようになってきたことも、大きいですね。広告効果も、webなどの仕組みを活用してはっきりと客観的に示せるようになった。また、当社の経営にとっても、広告事業の存在感が以前より増していて、やりがいが大きくなっていることもあると思います。

やはり、力を発揮できるようになると、面白いですか?

うーん、というか、面白いと感じることができるようになるまでは、とにかく無我夢中で、そんなことを思える余裕がなかったんです。ただひたすら必死に、目の前の仕事をがむしゃらにやってきた。今となってみれば、仕事を始めた頃はある種の混乱状態にあったものの、それもひとつの面白さだったかなあと思いますが、私の場合、面白いと心から実感できたのは、だいぶ後のことでした。

それは、いつ頃のことでしょう。

今から4年くらい前、産休明けのときです。広告制作の仕事を始めてから5年くらい経っていました。その前は、営業の仕事が3年くらい、さらにその前は広告の進行を管理する仕事を1年くらいやってきましたから、キャリア全体で見ると、最近のことですね(笑)。

久々に職場に戻ってきたら、あ、私こんなの作ってたんだ、思っていたよりイイもの作れてるじゃない、と初めて自分の仕事に自信が持てたんです。自分の仕事を振り返る機会ができて……人から言われたりとかではなく、自分発の純粋な気づきだったんです。

なるほど。職場から離れてみて、はじめてわかったと。

いや、違います。職場から離れていた産休中は、仕事のことはほとんど考えていませんでした。そうではなく、復帰した直後、その瞬間だったんです。そのとき、自分の成長が確認できて、自分の仕事が面白いと心から思いました。

休んでいたことで、自分のキャリアにブランクを作ったことで、自分の仕事を初めて客観的にとらえることができるようになったのだと思います。それまでも仕事の技量は知らず知らずのうちに養われていたのかもしれませんが、初めて自覚できた。あるテーマに対して、いろいろなアイデアが浮かんで、それを説明して人を説得できる。コンセプトに合った原稿の展開や写真、デザインを含めた誌面上での見せ方を思いつく……。これらを自由に自分の中から引き出せるようになったんです。自信をもって提案できるようになりました。

それが、細川さんの面白いと感じる基準だったんですね。さらにこれから先を面白くしようとして、今、何かやっていることはありますか?

未来を面白くしよう、と意識して毎日を過ごしてはいませんね(笑)。

けれど、私が仕事で一番面白いと思っていることは、他にあります。というよりも、目標ですが……。それは、人を浮き彫りにするような文章を書くことです。ああ、そういう意味では、今後そういうものが書けるようになるための、経験はつねに蓄えたいと思っています。厚みのない人間に、誰も自らの内面を語ろうとは思いませんよね。

今までも広告というフィールドでずっと書いてきて、相手を深掘りして引き出す技術やノウハウといった素養は培ってきたつもりですが、私は、広告だろうが編集記事だろうが関係なく、取材したその人間を生き生きと描き出せるようになりたい。それが一番筆力を試されることでもありますし、私のライフワークにしたいと思っています。

取材相手ではなく、自分を浮き彫りにするのは、どうですか?

……んー、そういうのは苦手、あまり気が進まないですね(笑)。というか、まず、人を書くためには、自分を太らせなきゃいけないと思います。それは、なんでもかんでもとにかく知識を増やして、どの分野の誰に取材しても対応できるようになって……といった単純なものではありません。

むしろ、知識は必ずしも必要ないかもしれない。それより、その分野をまったく知らなくても、どんなテーマが来ても通用する自分ならではのこだわりに立脚した普遍的な価値観、どんな考え方や思いに遭遇しても受け入れ、時に対峙することができる信念みたいなものが大事だと思います。

それを自分の中に作りたい、刻みつけたいんです。それによって、限られた取材時間の中で、ギュッと凝縮して相手を知る、人を書く……すごく創造的なことですよね。ワクワクします。

それは、相手にフォーカスしているようでいて、実は、自分に迫っていく作業ではありませんか。

うーん、そうかもしれません。とにかく私は、人が好きで、相手がどんな人なのか知りたい。文章は、それを表現するひとつの手段なのかもしれません。いろんな人と向き合って、その人の魅力が、人となりがまざまざと伝わるような文章が書きたい。だから、書くのって楽しいと思うんです。乾いた、血の通ってない事実のみをただつらつらと書くのではなく、人から滲み出てきたものが書けたらいいな、と。それは広告・編集、仕事に関係あるなしにかかわらず、です。

それと、できれば、総じてプラスに作用していくようなものが書けたらいいですね……。世界が広がっていくようなもの、新しい発見があるもの、何かの課題を解決できるようなもの。これは今の仕事にもつながっていると思います。誰かが一方的に傷つくようなものは書けないかもしれない……。いや、そんなことないかなあ……もしかしたら、今後そういうものも書く気になるかもしれません。いずれにせよ、何があっても最終的に、人が何かを生み出す方向にむかっていければいいなと……。でも、わかりませんね、先のことは(笑)。

プロフィール

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ビジネスプロモーション局 メディア制作部

細川めぐみ(ほそかわ めぐみ)

東京女子大学現代文化学部言語文化学科卒業後、2001年東洋経済新報社入社。文章を書く仕事がしたい!と願うも、広告の進行管理を1年、営業を3年経験し2005年、晴れて記事広告をつくる制作部へ。町工場の職人さんからグローバル企業のトップまで業種、役職問わず取材、撮影を重ね、クライアントニーズの具現化に励む。

編集後記

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マ−ケティング局 宣伝部

笠間勝久(かさま かつひさ)

「作ることは生きること」。話をうかがっていると、そんな言葉が頭に浮かんできました。BP局で活躍する傍ら、母親として多忙な毎日を送られているダイナミズムがひしひしと伝わってきました。それは、吐き出される言葉ひとつひとつが正直であり、真摯なものだからです。我が身に振り返らされるところが多くありました。「毎日が面白い」クリエイターの今後が楽しみです。