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データ事業局

100回確実に成功できることより、100回目にやっと成功できることのほうが面白い

データ事業局 データベース第二部 桶 康義

前職はコテコテ理系職だったというのは、本当ですか!?

本当です。前職では、大学院の専攻が流体力学であったことから航空用ジェットエンジンの基礎研究をしていました。高い専門知識が必要な、チャレンジングな仕事でした。

理系職から、なぜ東洋経済新報社に……?

日々の研究生活では、学生時代に期待した「実社会」に飛び出した感覚を得られませんでした。徐々に、もっと生々しく、世界の広さを実感できる生き方をしてみたい……という気持ちが強くなった矢先に、東洋経済新報社の採用募集が目に留まり、ご縁がありました。

ジェットエンジンから投資情報という振れ幅は、多くの人に驚かれました。でも、大学時代から投資の世界に興味があり、自分の認識として縁遠い転身ではなかった。流体力学と株価分析で使われる方程式が数学的に近いことも、投資情報を身近に感じる理由のひとつでした。

腕に覚えのある“データを扱う技術”を武器に、東洋経済新報社が蓄積している企業情報データをぶん回して、大暴れしてやろうと青二才の私はもくろんでいました(笑)。

実際に入社して、大暴れできましたか?

いや、世の中そんなに甘くありません。入社後、財務データを取り扱う部署に配属され、自分の未熟さを思い知りました。何の知識もないに等しかった財務やデータベース技術を一から学び、データ作成現場での修業が続きました。大暴れするどころか、社内の業務プロセスを改善できるようになるまでに5年かかりました。

現場での修業を経て、転機は訪れたのでしょうか。

転機は2007年にやってきました。というか、自分で強引に転機を作ったのですが……。

この頃、日本では法律改正や会計制度変更といった環境変化が次々と起きて、財務データを提供する側と利用する側が変化に追いかけ回されていました。現場にいた私は、この状況を変えたいとずっと考えていました。

そこで、「環境変化に柔軟に対応できる、新サービスを作らせてください」と声をあげたのです。頭の中で構想していた新サービスのアイデアを、先輩社員のアドバイスを受けながら企画書にまとめて会社に提出しました。すると会社の中期経営計画に採用されて、「トレンディポ」という新サービスを立ち上げることになりました。

新サービス立ち上げという、大暴れのチャンスをつかんだわけですね。

チャンスはつかんだものの、大暴れとまではいかず(笑)。実際にサービスを作るには、また一から勉強することばかりでした。でも、現場で学んだ知識や経験がここぞという時に役立ちました。参考になりそうな他サービスを手当たりしだい真似しながら、たくさんの小さな“失敗”を繰り返し、少しずつサービスに必要な部品を作り上げていきました。

私は、新しいことに取り組む時、100回確実に成功できることより、100回目にやっと成功できることのほうが面白いと考えています。だから積み重なる“失敗”も成功を面白くするためのキャリーオーバーと考え、失敗して空回りする日々も充実した気持ちで過ごしていました。

新サービスのリリースはいつだったのですか?

2008年に「トレンディポ」が商用サービスとしてリリースされました。既存サービスとは異質なものだったので、「トレンディポ」を活用してもらう過程で、社内外の多くの方にご尽力いただきました。お客様から「トレンディポ」の設計を“美しい”と褒めてもらえた時は、うれし涙を堪えるのに必死でした。

桶さんは、仕事をする時に大切にしている言葉があるそうですね。

自動車会社フォード・モーター・カンパニーの創設者ヘンリー・フォードが遺した言葉です。

「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」

お客様と同じ目線でいるだけでは新しい商品は生み出せないという意味だと解釈し、自分が「もっと速い馬」を追い求めていないか問いかけるようにしています。

私にはこんな名言が残せる実績はまだありませんが、お客様の要望にしっかり対応しながら、より多くの人に喜んでもらえる新しいサービスを作っていきたいです。

桶さんの思い描く、「トレンディポ」の未来は?

「トレンディポ」は大手の法人様にご利用いただいていますが、他にも活用の場が残されていると考えています。新たな活用の場のヒントを得るため、最近はインド企業と交流を図っています。

2014年10月初旬にインド屈指の学術都市・プネに出張しました。プネは「東のオックスフォード」や「インドのシリコンバレー」と呼ばれている都市。ここに集まるインドの人達は豊富な知識と高い技術を持っている上に、モチベーションや向上心が非常に高い。日本語でコミュニケーションを取れないというデメリットを補うほど、一緒に仕事をすることで得るものがありました。今後も交流を深めながら、「トレンディポ」の未来を探っていきたいです。

最後に、桶さんの思い描くご自身の未来についてもお聞かせください。

全世界を舞台にデータビジネスをしたいです。光ファイバーでデータを送信する場合、わずか0.07秒(仮想空間、理論値の場合)で地球の裏側まで届きます。こんなにも世界が小さく感じられることが、データビジネスの醍醐味だと考えています。もっと自在にデータを扱えるようになって、多くの人に世界は小さいと感じてもらえるような、新しいサービスを作りたいですね。

次は、全世界を舞台に大暴れしてやろうと?

そうですねぇ……。もういい大人なので(笑)、青二才の頃にもくろんだ大暴れはできませんが、小暴れはしたいですね。また一から勉強することばかりだと思いますが、そんな自分の未来に期待しています。

※所属・役職は取材時時点のものです。

プロフィール

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データ事業局 データベース第二部

桶 康義

1970年東京都生まれ。東京理科大学大学院物理学専攻(流体力学)を修了し、2000年に東洋経済新報社入社。「トレンディポ」サービスを、開発チームの中心となって作り上げた。同サービスは、会計制度の変更や勘定科目の拡大などに柔軟に対応可能で、複雑なデータ加工も簡便にできるため、国内外で多くの法人に利用されている。