社長挨拶
山田 徹也
Tetsuya Yamada
今から130年前の夏、一人の日本人がロンドンの地に降り立ちました。
30歳の新聞記者、町田忠治です。
町田がもっとも強い印象を受けたのは、立憲政治や資本主義の母国イギリスにおいて、
経済雑誌が経済界に絶大な信用と権威を持っていることでした。
「エコノミスト」のような経済雑誌が日本にもぜひ必要だ—— 。
当社のルーツである雑誌『東洋経済新報』が生まれた瞬間です。
健全なる経済社会が成立するには、健全なる個人の発達を待たなければならない。
われわれは政府や実業家にとっての「監督者」「忠告者」となり、「高識にして迂遠ならざる先導者」たらん。
創刊号はその理想を高らかに謳いあげました。
以来130年間、雑誌から始まった当社の事業は書籍出版から『会社四季報』へ広がり、それらの蓄積のもと、
データベース事業やウェブ媒体へと、経済社会の変化に合わせて業容を拡大・進化させてきました。
当社は同時に、「小日本主義」を唱えた石橋湛山をはじめとする錚々たる言論人を輩出しました。
生涯で1900編余におよぶ論考を残し、時の政府に対抗して植民地放棄など骨太な論陣を張った湛山が
いま見直されているのも、戦後80年を迎えて国や個人の生き方が曲がり角を迎えた時代の要請かもしれません。
創業者が掲げた高い理想と湛山をはじめとした偉大な言論人たちの伝統を胸に秘めつつ、
今後も経済社会の健全なる発展に貢献すべく、私たちはさらなる進化を遂げていきます。
今後とも皆様のご愛顧をよろしくお願いいたします。
山田 徹也