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表彰

石橋湛山賞

出典:「近代日本人の肖像」国立国会図書館
石橋湛山氏(東洋経済新報社・第5代主幹、第56代内閣総理大臣)は言論人として、また政治家として多大な業績を残しました。その卓越した思想と貢献とを永く記念するため、石橋湛山記念財団により、1980年に創設されたものです(東洋経済新報社、経済倶楽部後援)。各年度1年間に、政治・経済・国際関係・社会・文化などの領域で発表された論文・著書の中から、石橋湛山の自由主義・民主主義・国際平和主義の思想の継承・発展に、最も貢献したと考えられる著作に贈られています。なお、選考は識者の推薦を受け財団の選考委員会で決定しています。

2020年度(第41回) 石橋湛山賞

『日米地位協定――在日米軍と「同盟」の70年』 琉球大学人文社会学部准教授 山本章子著 2020年度・第41回の「石橋湛山賞」(石橋湛山記念財団主宰、東洋経済新報社、経済倶楽部後援)授賞作は、琉球大学人文社会学部准教授・山本章子氏著『日米地位協定――在日米軍と「同盟」の70年』(中央公論新社、2019年5月刊)に決定いたしました。 全国の有識者からご推薦いただいた50を超える著作の中から、厳正なる審査を経て選出されました。 本書は、在日米軍の駐留に視点を据えて戦後の日米関係史を概説しています。山本氏はとくに、日米両政府が1960年の日米安保条約改定、地位協定締結の際に取り交わした「日米地位協定合意議事録」を問題視します。04年まで非公開だった「合意議事録」は民主主義国家間の条約や協定の正統性を著しく阻害すると主張。日米同盟関係には深い闇のようなものが感じられるが、それはこの「合意議事録」によるところが大きく、また米軍への「”過剰な優遇”の根源」であると指摘します。 日米同盟の真価が問われようとするとき、国会で承認されていない「合意議事録」を撤廃することが喫緊の課題だと山本氏は主張します。深い信頼関係が土台になければ強固な同盟関係は成り立たないからです。 本書は日米同盟を重視しつつ、米国に対しても、非は非と主張し続けた石橋湛山の名を冠する本賞にふさわしいものといえます。 一般財団法人 石橋湛山記念財団  

過去の授賞者と授賞作

第40回 受賞作無し
第39回 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 国立情報学研究所教授 新井紀子著
第38回 『ポピュリズムとは何かーー民主主義の敵か、改革の希望か』 千葉大学法政経学部教授 水島治郎著
第37回 『経済の大転換と日本銀行』 京都大学公共政策大学院教授 翁邦雄著
第36回 『戦後70年保守のアジア観』 若宮啓文著
第35回 『平和主義とは何か─政治哲学で考える戦争と平和』(中央公論新社 13年3月刊) 松元雅和著 『永続敗戦論─戦後日本の核心』(太田出版 13年3月刊) 白井 聡著
第34回 受賞作無し
第33回 『原発危機の経済学――社会科学者として考えたこと』(日本評論社 2011年10月刊) 齊藤誠氏
第32回 『戦時下の経済学者』(中央公論新社、2010年6月刊) 牧野邦昭氏
第31回 『危機の経済政策―なぜ起きたのか、何を学ぶのか』(日本評論社 2009年8月刊) 若田部昌澄氏
第30回 『近代日本の分岐点―日露戦争から満州事変前夜まで』(ロゴス 2008年6月刊) 深津真澄氏
第29回 『日本国の原則-自由と民主主義を問い直す』日本経済新聞出版社 2007年4月刊) 原田泰
第28回 『日中関係―戦後から新時代へ』(岩波新書 2006年6月刊) 毛里和子
第27回 『戦後和解』(中公新書 2005年7月刊) 小菅信子
第26回 『平和のリアリズム』(岩波新書 2004年8月刊) 藤原帰一
第25回 『家計からみる日本経済』(岩波新書 2004年1月刊) 橘木俊詔
第24回 『地域再生の経済学 豊かさを問い直す』(中公新書 2002年9月刊) 神野直彦
第23回 『現代日本経済政策論』(岩波書店、2001年9月刊) 植草一秀
第22回 『財政赤字の正しい考え方-政府の借金は何故問題なのか』(東洋経済新報社 2000年8月刊) 井堀利宏
第21回 『現代日本経済論-「バブル経済」の発生と崩壊』(東洋経済新報社 1999年5月刊) 奥村洋彦
第20回 「競争社会の二つの顔-生存のためそして遊戯として」(『中央公論』98年5月号) 猪木武徳
第19回 『規制緩和-市場の活性化と独禁法』(ちくま新書 97年1月刊) 鶴田俊正
第18回 『日本的雇用慣行の経済学』(日本経済新聞社 97年1月刊) 八代尚宏
第17回 『新しい産業社会の構想』(日本経済新聞社 96年2月刊) 『アジアの時代』(東洋経済新報社 96年4月刊) 田中直毅
第16回 『挑戦する流通』(講談社 94年12月刊) 伊藤元重
第15回 「新経済主義宣言-政治改革論議を超えて」(『中央公論』94年2月号) 寺島実郎
第14回 『石橋湛山の思想史的研究』(早稲田大学出版会 92年12月刊) 姜 克實
第13回 『冷戦後の世界と日本』(講談社 91年11月刊) 「成功物語」(『世界』91年12月号) 船橋洋一
第12回 『国際安全保障の構想』(岩波書店 90年12月刊) 鴨 武彦
第11回 「日米同盟の新しい可能性」(『アスティオン』89年10月号) 中西輝政
第11回 『石橋湛山研究-小日本主義者の国際認識』(東洋経済新報社 90年6月刊) 増田 弘
第10回 「平和・開発・人権」(『世界』89年1月号) 坂本義和
第09回 「責任国家・日本の選択」(『アスティオン』87年冬号) 中谷巌
第08回 「歴史と文明のなかの経済摩擦」(『中央公論』86年8月号) 「経済摩擦の歴史的地位」(『中央公論』86年9月号) 大沼保昭
第07回 『国際対話の時代』(朝日新聞社 85年10月刊) 松山幸雄
第06回 「無邪気で危険なエリートたち」(『世界』84年2月号) 竹内 啓
第05回 「陽はまた昇る─経済力の活用と国際的な貢献」(『中央公論』83年7月号) 宮崎 勇
第04回 「日米「愛憎」関係 今後の選択」(『ボイス』82年1月号) 天谷直弘
第03回 「世界が日本を見倣う日」(『文芸春秋』81年11月号) 長谷川慶太郎
第02回 「農業革命を展望する」(『経済評論』80年11月号) 叶 芳和
第01回 「高い自己調整能力をもつ日本経済」(『現代経済』79年冬号) 飯田経夫