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編集局

自由が楽しい。「個」の経済も伝えたい

『東洋経済オンライン』編集長 編集局 東洋経済オンライン編集部 A.Y.

月間2億ページビュー(アクセス)がある国内でもトップクラス規模の媒体の運営を担っていますが、仕事内容は大変じゃないですか。

大変なところもありますけど、とても楽しいですね。2億ページビューあるといっても、私としては大きな媒体と思っているわけではないです。あくまで一本ずつの記事の集積で、いい記事ならたくさん読まれるけど、ニーズがなければ読まれない。その差は大きいですね。せっかく取材して意義のある記事を書いてもらっているのに読まれないのはあまりに残念です。だから、いい記事に仕上げるだけではなく、いかに読者へ記事を届けるかを編集者として考えています。
たとえばタイトルの付け方。タイトルは記事で伝えたいことと読者が知りたいことを結び合わせるパイプだと思っています。より広く、普段雑誌や新聞などを読まない方にもふと目に入って、興味をもって読んでもらえるように工夫しています。

ただ、一番大事なのは記事の内容そのもの。編集者として原稿で疑問や物足りなさなど気になる点があれば執筆者にすべて相談します。せっかく書いた記事を細かく指摘されるのは辛いと思います。執筆者と激論になることもありますね。私も東洋経済に入社してから記者として記事を書いていたので、「自分はもう最高のものを出しているのに」と思っている気持ちも理解できます。ですが、私が疑問を感じるということは読者も同じことを思う可能性があるということ。だからちょっと編集が甘いけど大丈夫だろうと思って記事を出すことはありません。書き手になぜ加筆や修正が必要かを論理的に説明して、より良い記事にしていくことも編集者の仕事です。

「東洋経済オンライン」は日常生活の話題や個人に焦点をあてたルポも多く、「経済じゃない」とか「今までの東洋経済らしくない」との批判も聞きます。

「東洋経済らしくない」と言われると、これまで先輩たちが築き上げてきた「東洋経済」の看板のすごさを感じますね(笑)。記事に対するコメントや問い合わせについてはチェックしていて、そういう批判も理解しています。ただ、経済を狭く捉えすぎているのかなとも感じます。経済はマクロの金融や政策、企業のことだけではなくて、生活のことでもあるので、読者の生活や人生にまつわることは何でも取り上げたいと思っています。

産休と育休で合計2年くらい会社を休みました。そのとき、郊外にある自宅、地域社会で過ごしていて「メディアは思いのほか見られていない」と感じました。休むまでは「世の中に必要な仕事をしている」と思っていましたけど、別にメディアがなくても過ごせるし、必需品じゃないと気づいて、求められるメディアって何だろうと考えました。そういう経験もあって、日常生活への問題意識や一個人としてどう生きるかという目線で企画を考えることはしっくりきています。実際に生活の問題に焦点を当てた記事を多く出しています。もともと東洋経済新報社を志望したのは、大学生のときに友人が「週刊東洋経済」を読んでいて、それを読んではまったからです。昔から週刊誌が好きですが、社会問題をじっくり扱える雑誌が経済のジャンルにあることに興味をもちました。多くの社会問題はおカネと無縁ではありません。入社前はそういう問題が自分や個人にどう関わるかまではまだ理解できていませんでした。だから個人という目線で経済を語ることは重要だと思っています。

そういえばYさんは東洋経済の雑誌記者・編集者として初めて産休と育休を取得されたと聞きました。
たまたま1号になっちゃいましたね。それまでも女性が働きにくかったというわけではないですけど、会社で前例がなくて。上司や同僚から「無理してない?」とか「体調は大丈夫?」とか過度なくらい気遣われて、大事に大事にされました。ありがたかったですね(笑)。今では産休や育休も当たり前になりましたよね。Lくんも育休をとるのはどうでしょう。

(育休を)取得する気満々ですよ(笑)。一方で、仕事をやめようとか、転職しようとか思ったことはありませんでしたか。

愚痴や弱音レベルはありますが、基本はないですね。ちょうどオンライン編集部に異動したのは2人目の子どもを出産した後でしたけど、新しい働き方を作るという点でもすごくいい追い風でした。当時の「東洋経済オンライン」は500万ページビュー程度の規模しかなくて、デジタル媒体を強化しようという新しいプロジェクトのメンバーとしてたまたま入りました。東洋経済という土台を活かしつつ、ゼロから媒体をつくるあの面白さは忘れられないですね。仕事と家庭と一人二役のように感じることもあって、負担があるのは事実ですけど、やっぱり好きなことができるから続けたいと思いますね。むしろ一人で複数の役回りをこなす時代だからこそ、好きな仕事じゃないと続けられないかな。何より自由なところがいい。すでに6年くらいオンライン編集部にいますけど、この仕事を続けたいと言っているからやらせてもらっていると思います。

自由にやりたいことができる点が仕事を続けられるポイントということですか。

自由にできるのがこの会社の面白いところですね。若いときは自分のやりたいことは何かとかいろいろ苦悩するときもあるし、必要な基礎は身につけなければならない。でも、やりたいことは必ずできるし、いつかやれます。好きな特定分野を持ってやっている自由人の先輩だらけだし。全員自由人で独立していて、個が強いところが東洋経済らしいです。人に言われた仕事じゃなくて、自分のやりたい仕事を追求できる、なんて素敵な環境だろうと今でも思いますね。みんな勝手にしているのに、仕事がちゃんとまわっているところも不思議ですけど(笑)

私は仕事以外で過ごす時間が比較的長く、仕事中心の生活の人とは見ている世界が少し違うので、その点でほかの記者・編集者にはできないことがたくさんあるのではないかと思っています。経済という広いジャンルからすれば、人の生活というのはあまりにも身近に溢れすぎているテーマに思われるかもしれません。だけどマクロ経済の記事があれば、その逆で『ミクロのミクロ』の記事があってもいいと思います。ルポというのもそのひとつですよね。さまざまな視点、手法を通じて、経済全体を表現していきたいです。

※所属・役職は取材時時点のものです。

プロフィール

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『東洋経済オンライン』編集長 編集局 東洋経済オンライン編集部

A.Y.

熊本県生まれ。早稲田大学商学部卒業後、東洋経済新報社に入社。記者として食品、建設、精密・電子部品業界などを取材し、『週刊東洋経済』や『会社四季報』等に執筆。二度の産休・育休を経て復帰。2012年秋の東洋経済オンラインリニューアルより同編集部。2016年4月から副編集長。月30~50本の記事の企画・編集に加え、サイト全体の運営管理や戦略策定のサポートなどを行う。

編集後記

interviewer

編集局 報道部

Y.L.

インタビューで最も盛り上がった内容は「東洋経済」社内の自由さです。私も入社して、いつでもやりたい取材をして記事を書かせてくれるあまりの自由さに驚きました。エネルギー問題、貧困・労働問題、鉄道、電子部品マニアなどそれぞれの得意分野(趣味)や個性を生かして活躍し、仕事を楽しんでいる人がたくさんいます。Yさんもまさにその自由さを体現している一人。私も何かしらの得意分野を鍛えていこうと思います。